この記事でわかること
- 展示会ブースでの動画の見られ方(音なし・短時間・画面の比率)と、企画への落とし込み方
- ブース動画の尺と、途中から見ても伝わるループ構成の作り方
- AIで作る素材と、製品の正確さのために実写・CGで作る素材の分け方
- 開催日から逆算した制作スケジュールの目安
- 公開情報をもとにした形式別の費用の目安(編集部調べ)
展示会ブース動画は「音なしで、途中から見ても、数秒で何の会社か分かる」ことが最優先です。AIは背景・イメージカット・構成案づくりで力を発揮しますが、製品そのものは実写やCGで正確に見せるのが安全です。開催日から逆算し、会場の画面で確かめる時間まで確保してください。
まず押さえる|ブースでの動画の見られ方.
ブース動画の企画は、どんな状況で見られるかから考えます。Webの動画は、見たい人が再生ボタンを押して冒頭から見てくれます。ブースの動画は違います。来場者は別の目的で通路を歩いており、たまたま目に入った数秒で判断します(編集部の見立て)。

音:基本は「聞こえない」前提で
会場は人の話し声や隣のブースの音で騒がしく、ナレーションは届きにくいものです。また、展示会によっては音量の上限が決められています。たとえばCEATECの出展規程では、ブースの境界線から2mの地点で測った音量を80dB(デシベル:音の大きさの単位)以下とする上限が示されています(CEATEC 2026 出展規程(X-Park)、2026年版で確認)。出展する展示会の規程を必ず確認し、音がなくても意味が通る動画を基本にしましょう。
時間:途中から見られ、すぐ離れられる
動画はループ再生されるのが普通で、来場者は途中から見始めます。冒頭に大事なことを置いても、その場面を見てもらえるとは限りません。どの瞬間から見ても「何の会社の、どんな製品か」が分かる工夫が必要です。
画面:比率・解像度・距離を先に確認する
一般的な大型モニターは16:9ですが、LEDビジョン(LEDを敷き詰めた大型の表示装置)は会場や機材によって縦長・横長など比率や解像度がさまざまです。また、ブースの外の通路から見る場合、数メートル先から文字が読める必要があります。表示する機材の仕様(ピクセル数・比率)を、企画の段階で施工会社やレンタル会社に確認してください。
尺と構成|ループで伝わる組み立て方.
ブース動画の推奨尺は、公開されている記事でも幅があります。展示会動画の制作会社を比較した記事では「15〜30秒を目安に、最長でも1分以内」とされ(キャククル)、制作費用を解説した記事では「30秒〜90秒程度」に絞ることが推奨されています(@SOHO)。
編集部としては、通路に向けた「呼び込み用」の短いループ(15〜30秒)と、ブース内で説明に使う「説明用」(1〜3分)を分けて作ることをおすすめします。1本で両方を兼ねようとすると、呼び込みには長すぎ、説明には浅すぎる動画になりがちです(編集部の見立て)。
| 種類 | 尺の目安 | 置き場所 | 構成のポイント |
|---|---|---|---|
| 呼び込み用ループ | 15〜30秒 | 通路側の大型モニター・LED | 社名と一言を繰り返す。1カット1メッセージ。文字は大きく少なく |
| 説明用 | 1〜3分 | ブース内のモニター・商談スペース | 課題→解決→導入効果の順。担当者の説明を補う図解中心 |
| 製品デモ補助 | 製品ごとに数十秒 | 製品の横の小型モニター | 使い方の手順、内部構造など実物では見えない部分 |
呼び込み用ループの基本構成(20秒の例)
- 0〜4秒:来場者の課題を一言で(例:「検品の人手、足りていますか?」)
- 4〜12秒:解決の様子を映像で(製品が使われている場面)
- 12〜17秒:一番伝えたい特長を一つだけ、大きな文字で
- 17〜20秒:社名・製品名と「ブースで実演中」などの誘導
社名と製品名は最後だけでなく、画面の隅に常に出しておくと、途中から見た人にも伝わります。
テロップは「遠くから・一瞬で」読める形に
音なしで伝える以上、テロップが動画の主役になります。次の点を意識すると、通路からでも読みやすくなります(編集部の目安)。
- 1画面1メッセージ:1つの場面に載せるテロップは1つ。長い説明文は分けるか削る
- 表示時間を長めに:歩きながら読むことを考え、短い文でも数秒は表示する
- 太く、背景と差をつける:細い書体や、映像に溶け込む色は避ける。必要なら文字の下に帯を敷く
- 画面の下端に寄せすぎない:ブースの展示物や人の頭で、画面の下側が隠れることがある
- 専門用語は来場者の言葉に:社内の略語や型番だけでは、通りがかりの人には伝わらない
テロップ案は、文章生成AIに「15字以内で10案」のように字数を指定して出してもらい、人が選ぶと効率的です。
あなたは展示会の映像ディレクターです。次の条件で、ブースの通路側モニターで流すループ動画の構成案を3案つくってください。 【出展製品】(製品名と、言える事実だけを箇条書き。数値は根拠のあるものだけ) 【来場者】(例:製造業の生産管理・品質管理の担当者) 【ブースで一番伝えたいこと】(1文で) 【条件】尺20秒のループ/音なし/16:9の大型モニター/通路から3m程度で見られる 出力ルール: - 「秒数|画面に映すもの|テロップ(15字以内)」の表で書く - どの場面から見始めても、社名と製品のジャンルが分かるようにする - 製品の外観・機能は、渡した事実の範囲で書く。効果を盛らない - 各案の狙い(どんな来場者に足を止めてもらうか)を1行で添える
AIでの素材づくり|製品の正確さは実写・CGで担保する.
生成AIが力を発揮するのは、背景・イメージカット・場面転換・構成案・テロップ案などです。一方で、出展製品そのものを動画生成AIに描かせると、形や部品、ロゴ、画面表示が実物と違ってしまうことがあります。展示会は実物を見に来る場であり、動画と実物の違いは信頼を損ないます。
| 素材 | 作り方 | 理由 |
|---|---|---|
| 製品の外観・動き | 実写撮影、または設計データからの3DCG(3次元のコンピューターグラフィックス) | 形・色・部品・ロゴを正確に見せるため |
| 製品の内部構造・仕組み | 3DCG・図解アニメーション | 実物では見えない部分を正確に説明するため |
| 利用シーン・背景 | AIで生成(製品は合成) | 撮影が難しい場所や季節も表現できる |
| イメージカット・場面転換 | AIで生成 | 短期間でバリエーションを出せる |
| テロップ・構成案 | 文章生成AIで案出し→人が確定 | 字数を絞った案を大量に比べられる |
| BGM(使う場合) | 商用条件を確認した音源 | 会場で流す場合の利用条件も確認が必要 |
3DCGの作り方はAIで3Dモデルを作る方法の解説記事、画像生成と動画生成の使い分けは画像生成と動画生成の違いの解説記事で紹介しています。
動画生成ツールは「モデルごとの条件」を確認する
動画生成AIは、同じサービスの中でも使うモデルによって条件が変わることがあります。たとえばAdobe Fireflyの動画生成では、Adobe自身のFirefly Video ModelはAdobe Stockなどのライセンス済みコンテンツとパブリックドメインのコンテンツで学習し、商用利用に安全な設計と説明されています。一方で、同じ画面から選べるVeo 3.1やRunway Gen-4.5などのパートナーモデルについては「商用利用の可否は使うモデルによる」とされています。生成できるクリップの長さはモデルにより、多くは最大8秒、一部は15秒までで、モデルにより最大4K、MP4で書き出せると案内されています(Adobe Firefly AI動画生成)。
つまり、ブース動画は数秒のカットをつなぎ合わせて作るのが前提になります。カットごとに色味や人物の見た目がずれやすいため、最後に色調整とつなぎの確認を人が行います。権利面の注意はAI動画の著作権リスクの解説記事、BGMはAI音楽の商用利用の解説記事をご覧ください。
展示会ブース動画用の背景映像。 場面:(例:明るい工場の検査ライン。作業台の手前中央に何も置かれていない空間) カメラ:ゆっくり右から左へ横移動、5秒 画面:16:9。中央下3分の1は製品を合成するため空けておく 光と色:昼白色、清潔感。差し色は(ブランドカラー)1色のみ 除外:文字、ロゴ、実在の企業名・ブランド、人物の顔のアップ
制作スケジュール|開催日から逆算する.
制作期間について、公開記事では、シンプルな映像で1〜1.5か月、撮影を伴う本格的な映像で2〜3か月が目安とされています(@SOHO)。AIを使うと素材づくりの期間は短くできますが、社内確認・関係部署のチェック・会場の画面でのテストの時間は縮まりません。

とくに見落とされやすいのが、製品の見え方と表記の確認です。開発・品質保証・法務などの関係部署に、製品の形状、性能の表現、規格名などを確認してもらう時間を、最初からスケジュールに入れておきましょう。また、施工会社から画面の仕様が届くのが遅れると、書き出しのやり直しが発生します。機材の仕様は企画段階で確定させてください。
会場に持ち込む前の確認
Checklist- 本番と同じ比率・解像度で書き出した(予備のデータも用意した)
- 数メートル離れた位置から、テロップが読める大きさになっている
- 音なしで最後まで見て、内容が伝わる
- ループの継ぎ目で、画面が真っ暗になる時間が長すぎない
- 社名・製品名が、どの場面から見ても分かる
- 製品の形状・性能の表現を関係部署が確認した
- BGMや素材の利用条件(会場での上映を含む)を確認した
- 使った生成ツール・モデル・プロンプトを記録した
費用の目安|形式によって大きく変わる.
展示会動画の制作費は、形式・尺・撮影の有無で大きく変わります。公開されている記事では、展示会動画の費用は一般的に40万円〜200万円とされ、形式別には次のような目安が示されています(@SOHO「展示会・ブース映像の制作費用」、2026年8月更新、税区分の記載なし)。

また、制作会社12社を比較した記事では、各社のプランとして10万円未満から数百万円まで幅広い価格帯が掲載されています。ただし同記事は、掲載情報が2023年6月時点のもので、掲載価格は税区分が不明と注記しています(キャククル「展示会動画制作会社おすすめ12選」)。
AIを使うと何が変わるか
AIの活用で下がりやすいのは、撮影が必要だった背景・イメージカットの素材費と、構成案・テロップ案を考える時間です。一方、企画、製品の実写・CG、編集・色調整、関係部署の確認といった工程は残ります。AI広告の費用構造はAI広告制作の費用の解説記事、内製と外注の判断はAI動画の内製・外注の判断の解説記事で詳しく整理しています。
見積もりを比べるときは、総額だけでなく「尺・本数」「比率違いの書き出し」「修正回数」「素材(製品写真・CGデータ)の提供の有無」「展示会後のWeb・SNSへの転用」の条件をそろえると、比較しやすくなります。
よくある質問.
Q展示会の動画に音は入れるべきですか?
Q動画の尺はどれくらいがよいですか?
Q製品の映像もAIで作れますか?
QLEDビジョンで流す場合、何に気をつければよいですか?
Q展示会の動画を、Webサイトや営業でも使い回せますか?
Q制作はいつから始めればよいですか?
まとめ|AIで素材を速く、ブースで伝わる形に.
- ブース動画は音なし・途中から・数秒で判断される前提で企画する
- 通路向けの呼び込み用ループと、ブース内の説明用は分けて作る
- AIは背景・イメージカット・構成案に。製品は実写・CGで正確に
- 動画生成ツールはモデルごとの商用条件を確認し、数秒のカットをつないで仕上げる
- スケジュールは開催日から逆算し、関係部署の確認と会場の画面でのテストの時間を確保する
※ 本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の案件については弁護士等の専門家にご確認ください。記載は2026年10月時点の情報です。
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