この記事でわかること
- AI広告の種類別(バナー/SNS広告動画/CM・ブランド映像/AIモデル)の費用の目安
- 見積もりを構成する4つの層と、AIで下がる部分・下がらない部分
- 従来の制作と比べたときの費用と期間の違い
- 費用を左右する5つの要因と、見積書で確認すべき8項目
- 安くしすぎて失敗する典型パターンと、その避け方
AIで大きく下がるのは「撮影・作画などの作業」の部分で、企画・ディレクション・権利確認といった人の仕事はほとんど下がりません。そのため、公開されている料金を見ると、人が企画と仕上げに入るAI動画は1本数十万円からが中心です。費用を比べるときは、総額ではなく「何本・何サイズ・修正何回・どこまでの権利チェックか」を揃えてください。
AI広告の費用は「種類」と「工程」で決まる.
AI広告の費用を考えるときに最初に押さえたいのは、「AIを使うかどうか」より「どの種類の広告を、どの工程まで頼むか」で金額が決まるという点です。同じ「AIで作る広告」でも、自分でツールを使って作るバナーと、制作会社が企画から仕上げまで担うCM向けの映像では、桁が2つ以上違います。
実際に、制作会社が公表している料金を並べると次のようになります。いずれも各社が示している最低価格(「〜」表記)の参考価格です。税別と明記のある価格は税別で、JPC・写真加工屋さんは税区分の記載がありません。

ポイントは、人が企画と仕上げを担うAI動画は、15秒でも数十万円からが中心だということです。一方で、生成AIツールそのものの利用料はかなり安くなっています。たとえばWHITE株式会社は、生成AIだけで制作した実写風CMについて、ツール費を約1万5,000円(人件費を除く)と公表しています(WHITE株式会社のプレスリリース)。ただし、同社はこれを1名の担当者が1か月かけて制作したとしており、この金額には人の作業時間は含まれていません。ツールの利用料も、有料プランの最安でAdobe Fireflyが月1,580円(税込)、Runwayが月15ドル(年払いなら月12ドル)と、月数千円から始められる水準です(2026年10月時点の公式料金。月数千円〜数万円という幅は編集部調べの目安)。
つまり、AI広告の費用の大半はツール代ではなく人の時間です。この前提を持っておくと、見積もりの金額の意味が読みやすくなります。外注先の選び方や発注書の書き方については、AIクリエイターへの依頼|費用相場と発注の型で詳しく解説しています。本記事では「広告の種類ごとに、費用がどう組み立てられているか」に絞って見ていきます。
種類別の費用の目安|バナー・SNS動画・CM・AIモデル.
公開されている料金表や相場記事をもとに、編集部で種類ごとの目安を整理しました。金額は編集部調べの目安であり、実際の見積もりは条件によって上下します。
| 広告の種類 | 見積もりの単位 | 費用の目安(編集部調べ) | 根拠にした公開情報 |
|---|---|---|---|
| バナー(AIツールで自作) | 月額・1本あたり | 1本あたり百数十円〜(ツール代のみ) | Banavo:Starterプラン月9,800円で50本=1本196円(2026年10月時点、公式サイトで確認。β版として提供) |
| バナー(制作会社に依頼) | 1点・まとめて個別見積もり | 従来並みの1点数千円〜、AIモデル合成などを伴うと数万円〜 | 従来の静止画バナー:3,000円〜1万円程度/AI広告バナー作成:3万円〜(JPC) |
| SNS広告動画(15秒前後) | 1本・セット | 1本30万円前後〜、派生込みのセットで60万円前後〜 | RAPTOR:単品28.5万円〜、6本セット59.8万円〜/フィールドキャスター:縦型3本30万円〜(1本60秒以内のプラン) |
| CM・ブランド映像 | 1本・秒単価 | 1本60万円〜100万円超 | プルークス:ライト1本60万円〜/26℃:1秒3.5万円〜(30秒換算105万円〜) |
| AIモデル起用 | 年契約・1点あたり | 契約は年数万円〜、合成・着用画像は1点1,000円〜6,000円程度から | JPC:既存AIモデル1年契約2万円・合成1点6,000円〜/写真加工屋さん:1枚1,000円〜 |
根拠にした公開情報:Lifunext「Banavo」公式サイト / クラウドワークス「バナー制作の費用相場」 / JPC「AI/AD MAKERS」料金 / REXTAR「RAPTOR AI VIDEO STUDIO」 / フィールドキャスター「AI VIDEO PLAN」 / プルークス「生成AI動画制作プラン」 / 26℃ AIプロダクション事業部 / 写真加工屋さん「AIモデル生成」(いずれも2026年10月時点で確認。RAPTORは2026年11月2日提供開始予定)
バナー:単価より「展開数」で効く
バナーは、AIによって1点あたりの単価が下がるというより、同じ予算で作れるバリエーションが増える種類です。ツールで自作すれば1本あたり数百円以下で作れますが、訴求軸の設計やブランドに合わせた仕上げを制作会社に頼むと、従来の静止画バナーと同じかそれ以上の単価になることもあります。名古屋のブルーアールが2026年9月に始めた「AI Banner」も、AIの生成とアートディレクションを組み合わせ、料金は制作数量に応じた個別相談としています(ブルーアールのプレスリリース)。
SNS広告動画:「マスター1本+派生」で見る
SNS広告動画は、AI制作のメリットが最も出やすい種類です。料金表を見ると、マスター1本に、冒頭違い・サイズ違いの派生を数本つけるセットが用意されていることが多く、1本あたりの単価はセットのほうが下がります。広告は複数パターンを試して当たりを探すものなので、最初から「何本を検証するか」で見積もりを取るのが合理的です。
CM・ブランド映像:秒単価と工程で決まる
CMやブランド映像は、尺が長く、企画・演出・音の仕上げに人の時間がかかるため、AIを使っても1本数十万〜100万円超が目安になります。それでも、従来の実写CMの制作費が一般的に300万〜600万円とされているのと比べると(アイミツ「CM制作費の相場」)、撮影が不要になる分の差は大きいといえます。ブランド映像の作り方そのものは、AIを使ったブランドムービーの解説記事も参考にしてください。
AIモデル:出演料が「契約料」に置き換わる
人物モデルの起用では、出演料と使用期間・媒体の契約が費用の中心でした。AIモデルでは、これがAIモデルの利用契約(年単位など)と、1点ごとの合成・編集費に置き換わります。ただし、AIモデルにも使用期間や範囲の条件がつくことがあるため、「買い取り」なのか「期間契約」なのかは必ず確認してください。実際の起用事例はAIモデルを起用した広告事例の記事でまとめています。
従来の制作と比べて、どこが安くなり、どこは変わらないか.
AI広告の見積もりを正しく読むには、金額を4つの層に分けて考えると分かりやすくなります。

従来のCM制作の費目は、企画・プランニング費、キャスティング・出演費、撮影費、編集・MA費(MA:ナレーションや効果音を整える音の仕上げ作業)に分かれます。アイミツの整理では、企画費が10万〜30万円、撮影費が20万〜80万円、編集・MA費が15万〜40万円とされ、人気タレントの起用は年間4,000万円〜が目安とされています(アイミツ「CM制作費の相場」)。
AIに置き換わるのは、主に撮影費と出演費の部分です。一方、企画費と編集・MAの多くは人の仕事として残ります。さらにAI制作では、生成した映像が既存の作品や実在の人物に似ていないか、手や文字に破綻がないかを確認する工程が新しく加わります。
| 比べる観点 | 従来の制作 | AIを使った制作 | 読み方のポイント |
|---|---|---|---|
| 撮影・作画 | スタジオ・機材・スタッフの費用がかかる | 生成に置き換わり、大きく圧縮される | 差額の大半はここから生まれる |
| 出演 | 出演料+使用期間・媒体の契約 | AIモデルの契約料、または出演なし | AIモデルにも期間・範囲の条件があるか確認 |
| 企画・コピー | 必要 | 同じく必要 | ここを削ると、安くても成果が出ない |
| 確認・権利チェック | 肖像権・著作権の確認 | 類似チェック・破綻の修正が加わる | 体制が書かれていない見積もりは要注意 |
| 期間 | 実写CMで約3か月(プルークスの説明) | 約1.5〜2週間(同社のAIプラン) | 急ぎの案件ほどAIの価値が出る |
期間の比較は、プルークスが自社の生成AI動画制作プランについて「従来の実写CM制作は約3か月、本プランは約1.5〜2週間」と説明しているものです(<a target="_blank" rel="noopener noreferrer nofollow" href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000014649.html">プルークスのプレスリリース</a>)。案件の内容によって期間は変わるため、あくまで1社の説明として参考にしてください。
費用を左右する5つの要因.
同じ種類の広告でも、見積もりが数倍違うことは珍しくありません。金額を動かしているのは、主に次の5つです。
- 尺と本数:動画は秒数に比例して作業が増えます。26℃のように秒単価で目安を示す会社もあります。本数はセットにすると1本あたりが下がる傾向です
- リアルさの要求水準:実写に近い人物の演技や、商品の正確な再現が必要なほど、生成のやり直しと手作業の修正が増えます
- 商品・ロゴの正確さ:生成AIは細かな文字やパッケージの再現が苦手です。実物の商品写真の合成や、後工程での差し替えが必要になると、その分の作業が加わります
- 音と声:AI音声で済ませるか、プロのナレーターを起用するか。プルークスではプロナレーター起用が1名3万円〜(尺30秒以下想定)のオプションです
- 権利の範囲:使う媒体、期間、地域、二次利用の可否。テレビCMとして放映するのか、SNS広告だけなのかで、必要な確認の深さが変わります
なお、テレビCMの場合は制作費とは別に放映料がかかります。アイミツの整理では、関東の地上波で15秒1本あたり30万〜100万円が目安とされています。AIで制作費を下げても、放映料は下がらない点に注意してください。
見積もりの読み方|比べる前に条件を揃える.
AI広告の見積もりで一番多い失敗は、含まれている範囲が違う見積もりを、総額だけで比べてしまうことです。たとえば単品プランは「15秒・1サイズ・修正3回まで」、別の会社は「縦型3本セット・修正2回まで」というように、同じ「30万円前後」でも中身が違います。

「何を検証したいか」を先に決める
認知を取りたいのか、クリックを増やしたいのか。目的が決まると、必要な本数とパターン数が決まります。
本数・尺・サイズを揃えて依頼する
「15秒・縦型と正方形・マスター1本+冒頭違い3本」のように、同じ条件で複数社に見積もりを依頼します。
内訳を出してもらう
企画、生成・編集、確認、オプションに分けてもらいます。「一式」だけの見積もりは、追加費用の判断ができません。
修正と作り直しの線引きを確認する
「修正」に生成のやり直しが含まれるか、方向性を変える場合はどうなるかを、発注前に文書で確認します。
権利と表記の担当を決める
類似チェック、商標や人物の確認、AI利用の表記を、制作会社と自社のどちらが担うかを決めておきます。
安くしすぎて失敗する4つのパターン.
AIで制作費を下げること自体は正しい方向です。ただ、削ってはいけない部分まで削ると、結果的に高くつきます。よくあるパターンは次の4つです。
1. 企画を削って「きれいなだけの広告」になる
生成AIは見栄えのよい映像を短時間で作れますが、「誰に、何を、なぜ今」伝えるかは決めてくれません。企画を自社で用意しないまま安いプランに頼むと、完成度は高いのに成果につながらない広告になりがちです。
2. 修正回数が足りず、追加費用が膨らむ
生成AIは、同じ指示でも毎回少しずつ違う結果を出します。商品の色や形が合わない、人物の表情が意図と違う、といった細かな修正が重なりやすく、修正回数の少ないプランでは追加料金が発生しやすくなります。
3. 権利チェックが抜けて、公開後に差し替える
既存のキャラクターや実在の人物に似てしまった、ロゴが他社のものに近い、といった問題は、公開後に見つかると差し替えと再出稿のコストがかかります。確認の体制が見積もりに含まれているかは必ず見てください。リスクの考え方はAI動画の著作権リスクの解説記事で詳しく解説しています。
4. 1本だけ作って「AIは効果がない」と判断する
AI広告の強みは、複数パターンを早く試せることにあります。1本だけ作って成果を判断すると、その強みを使わないまま結論を出すことになります。最初から派生込みのセットで予算を組むほうが、結果的に費用対効果は上がります。
目安として、企画とディレクションの費用は削らず、「生成・編集」の層で下がった分を「本数・パターン数」に回すのが、AI広告の予算の組み方としては失敗が少ない考え方です。
よくある質問.
QAIで広告を作れば、制作費は従来の何分の1になりますか?
Q自社でツールを使えば、ほぼ無料で作れますか?
QAIモデルを使えば、モデルの出演料はかからないのですか?
Q見積もりに「AI生成費」という項目しかない場合は、どう判断すればよいですか?
QテレビCMをAIで作れば、総額も大きく下がりますか?
まとめ|AI広告の費用は「何に払うか」で見る.
- AI広告の費用は、広告の種類と、どの工程まで頼むかで決まる。人が企画と仕上げに入る動画は、15秒でも1本数十万円からが中心
- AIで大きく下がるのは撮影・作画などの「生成・編集」の層。企画・ディレクション・権利確認はほとんど下がらない
- バナーは単価より展開数、SNS広告動画はマスター+派生のセット、CMは秒単価と工程、AIモデルは契約の期間と範囲で見る
- 見積もりは本数・尺・サイズ・修正回数・権利の範囲を揃えてから比べる
- 下がった制作費は、削るのではなく検証するパターン数に回すと効果が出やすい
生成AIの広告活用の全体像は生成AIの広告活用の解説記事で解説しています。あわせてご覧ください。
参考にした公開情報:REXTAR(RAPTOR) / 26℃ / プルークス / フィールドキャスター / JPC(AI/AD MAKERS) / 写真加工屋さん / Lifunext(Banavo) / ブルーアール(AI Banner) / WHITE株式会社 / アイミツ(CM制作費) / アイミツ(バナー制作費) / クラウドワークス(バナー制作費) / Adobe Firefly 料金 / Runway 料金
※ 記載の料金は各社が公表している参考価格(2026年10月時点)です。税別と明記のある価格は税別で、JPC・写真加工屋さん・Banavoは税区分の記載がありません(Adobe Firefly は税込表記)。料金は変更される場合があります。最新の条件は各社の公式情報をご確認ください。
自社の広告に合う「AIで作る範囲」と予算の組み方を、実案件ベースで一緒に整理します.
