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AI動画は内製か外注か|費用・品質・リスクで比較

2026.11.03
SAC(Smart AI Collective)編集部READ 10 MIN2026.11.03

この記事の要約

AI動画を社内で作るか、外注するか。費用・スピード・品質・権利リスク・ノウハウの5軸で比べ、向いているケースとハイブリッドの型を整理します。

動画生成AIの性能が上がり、月数千円のツールでも広告やSNSに使える映像が作れるようになりました。その一方で、「社内で作るべきか、これまでどおり制作会社に頼むべきか」という判断に迷う担当者が増えています。ツール代だけを見れば内製のほうが圧倒的に安く見えますが、担当者の時間や品質、権利の確認まで含めると、答えは用途によって変わります。本記事では、費用・スピード・品質・権利リスク・ノウハウ蓄積の5つの軸で内製と外注を比べ、向いているケース、両方を組み合わせるハイブリッドの型、判断フローまでを整理します。
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この記事でわかること

  • 内製と外注で「何にお金を払っているか」の違い
  • ツール代・人件費・学習コストと外注費の比べ方
  • 費用・スピード・品質・権利リスク・ノウハウの5軸での比較
  • 内製・外注・ハイブリッドが向いているケース
  • 5つの問いで決める判断フローと、内製に切り替えるときの手順
結論

「内製か外注か」は会社単位ではなく、動画の用途ごとに決めるのが現実的です。本数が多くスピードが価値になる動画(SNS投稿、広告の検証用など)は内製、1本の失敗が許されない動画(CM、ブランド映像)は外注、その中間は「企画と量産は社内、マスターや仕上げは外注」というハイブリッドが、費用と品質のバランスを取りやすい選び方です。

内製と外注は「何にお金を払うか」が違う.

AI動画の内製と外注を比べるとき、最初に押さえたいのは、両者は同じものにお金を払っているわけではないという点です。

  • 内製で払っているのは、ツールの利用料と、担当者の時間、そして使いこなせるようになるまでの学習の時間です
  • 外注で払っているのは、完成した動画と、企画・演出・仕上げを含めた品質の保証、そして社内の時間を使わずに済むことです

そのため、「ツールは月数千円、外注は数十万円だから内製が安い」という比べ方は成り立ちません。ツール代の差ではなく、担当者の時間を含めた1本あたりの総費用と、その動画に求める品質で比べる必要があります。

内製は人の時間と学習に、外注は完成品と品質の保証にお金を払っている
内製は人の時間と学習に、外注は完成品と品質の保証にお金を払っている

費用を比べる|ツール代・人件費・学習コスト vs 外注費.

内製の費用:ツール代は小さく、人の時間が大きい

動画生成ツールの料金は、月額のサブスクリプション(定額制)に、生成に使う「クレジット」(生成回数や秒数に応じて消費するポイント)がついている形が一般的です。公式サイトで確認できた主なツールの料金は次のとおりです。

ツールプラン月額料金含まれるもの(公式の記載)
Adobe FireflyFirefly Standard1,580円(税込)生成クレジット2,000/5秒の動画で最大20本
Adobe FireflyFirefly Pro3,180円(税込)生成クレジット4,000/5秒の動画で最大40本
Adobe FireflyFirefly Pro Plus6,600円(税込)生成クレジット10,000/5秒の動画で最大100本
RunwayStandard15ドル(年払いなら月12ドル)月625クレジット
RunwayPro35ドル(年払いなら月28ドル)月2,250クレジット

出典:Adobe Firefly プランと価格 / Runway Pricing(いずれも2026年10月時点で確認)。このほか、台本づくりに対話型AI、ナレーションに音声生成AI、仕上げに動画編集ソフトを組み合わせることが多くなります。たとえばWHITE株式会社は、生成AIだけで実写風のCMを制作した際のツール費を約1万5,000円(人件費を除く)と公表し、画像生成AI、音声生成AI、動画生成AI、編集ソフトの内訳を示しています(WHITE株式会社のプレスリリース)。

ただし同社は、この制作に映像制作の専門職ではない担当者1名で1か月かかったとしています。ツール代が1万円台でも、担当者の1か月分の時間が別にかかっている、ということです。内製の費用は次の式で考えると、外注費と同じ物差しで比べられます。

内製1本あたりの費用の考え方
内製1本あたりの費用 =
  (ツール代の月額 ÷ 月の制作本数)
+(1本あたりの作業時間 × 担当者の時間単価)
+(確認・修正にかかる時間 × 確認者の時間単価)
+(立ち上げ期の学習時間 × 時間単価 ÷ 想定する総本数)
時間単価は、自社の人件費(給与・社会保険料などを含む)を労働時間で割った値を使います。最初の数本は学習時間が乗るため高くなり、本数が増えるほど下がっていきます。

外注の費用:完成品の単価で見える

外注の費用は、制作会社の料金表で比較的はっきりわかります。2026年10月時点で公開されている料金の例は次のとおりです(いずれも税別の最低価格)。

  • フィールドキャスター「AI VIDEO PLAN」:SNSショート(縦型)3本セットや、90秒以内のサービス説明動画などが30万円〜。修正は2回まで(同社プレスリリース)
  • REXTAR「RAPTOR AI VIDEO STUDIO」:SNS広告向け15秒の単品が28.5万円〜、毎月6本を制作する月額プランが49.8万円〜(3か月から、2026年11月2日提供開始予定)(同社プレスリリース)
  • プルークス「生成AI動画制作プラン」:ライト1本60万円〜、5本パッケージ200万円〜(同社プレスリリース)

つまり、外注は、公開料金の例では1本・1セット30万円前後〜(プルークスは60万円〜)が目安です。内製の式で出した1本あたりの費用がこれを下回り、かつ品質の要求を満たせるなら、内製のほうが合理的といえます。外注先への依頼の仕方はAIクリエイターへの依頼|費用相場と発注の型で詳しく解説しています。

5つの軸で比べる|費用・スピード・品質・リスク・ノウハウ.

費用以外の観点も含めて、内製と外注を比べると次のようになります。どちらが優れているかではなく、自社の動画にとってどの軸が重要かを見てください。

比べる軸内製外注判断のポイント
費用ツール代は月数千円〜数万円。費用の中心は担当者の時間公開料金の例では1本・1セット30万円前後〜(プルークスは60万円〜)本数が多いほど内製が有利。単発なら外注が早くて確実
スピード修正・差し替えをすぐ回せる。最初は学習に時間がかかる公開例では最短1.5〜2週間程度(プルークス、フィールドキャスターの説明。構成確定後の目安)。修正は回数の取り決めに従う「明日までに3パターン」が多いなら内製
品質担当者のスキル次第でばらつく企画・演出・音まで一定の水準で仕上がるブランドの顔になる動画は外注が安全
権利・リスク管理類似チェックや表記も自社の責任確認体制を契約で求められる。ただし最終責任は発注側にも残る社内ルールがないうちは外部の確認を入れる
ノウハウ蓄積プロンプトや型が社内に残る社内には残りにくい長く続ける用途ほど内製の価値が大きい

内製化の現場で起きていること

動画に限った調査ではありませんが、ナイル株式会社が2026年8月にコンテンツ制作を内製している企業の担当者954人に行った調査では、内製化を進めた理由として「外注コストを削減するため」が44.4%で最も多く、「生成AIで制作するようになったため」も27.0%でした。一方、内製化の課題としては「制作できる人材が足りない」(42.3%)、「担当者によって品質にばらつきがある」(41.4%)が上位に挙がっています(ECのミカタの記事、ナイルのSEO相談室)。

コストを下げるために内製を始めたものの、人と品質の問題にぶつかるという構図は、AI動画でもそのまま当てはまります。内製を選ぶなら、ツールの導入と同時に「誰が作り、誰が確認するか」を決めておくことが欠かせません。

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権利面では、内製でも外注でも「公開した会社」の責任は残ります。外注先が確認してくれる場合でも、使用したツール、生成のログ、確認した内容を納品物と一緒に受け取っておくと、後から問われたときに説明できます。AI動画特有のリスクは<a href="https://sac.epoch-inc.jp/magazine/articles/ai-video-copyright-risks/">AI動画の著作権リスクの解説記事</a>を参照してください。

内製・外注・ハイブリッドが向いているケース.

本数と品質の要求で、動画ごとに内製・外注・ハイブリッドの置き場所を決める
本数と品質の要求で、動画ごとに内製・外注・ハイブリッドの置き場所を決める

内製が向いているケース

  • SNSの投稿動画や、商品紹介動画の差し替えなど、本数が多く、更新の頻度が高いもの
  • 社内研修やマニュアル動画など、社外の目に触れにくく、多少の粗さが許されるもの
  • 広告のクリエイティブテストで、冒頭の数秒だけを何パターンも試したいもの

外注が向いているケース

  • テレビCMやブランド映像など、会社の顔になり、1本の失敗が許されないもの
  • 実在の商品や人物の再現性が厳しく求められ、手作業の仕上げが多く必要なもの
  • 社内に担当者がおらず、年に数本しか作らないもの

ハイブリッドが向いているケース

実際には、多くの会社にとって現実的なのはこの中間です。代表的な型は次の3つです。

ハイブリッドの型社内でやること外に任せること向いている用途
企画は社内、制作は外注目的・ターゲット・訴求軸・構成案生成・編集・音の仕上げ社内に動画の作り手はいないが、商品理解は社内が一番深い場合
マスターは外注、派生は社内冒頭違い・サイズ違い・テキスト差し替え最初の1本(マスター)の企画と制作SNS広告の継続的な検証
制作は社内、確認は外部生成・編集までの制作作業公開前の権利・表記チェック、品質の監修内製を始めたばかりで、社内ルールが固まっていない時期

たとえば採用動画であれば、職種ごとの説明動画は社内で量産し、会社紹介のメイン動画だけを外注する、といった分け方ができます。採用動画の作り方はAI採用動画の作り方|費用相場と制作手順で詳しく紹介しています。また、そもそも動画にするべきか画像で足りるかの判断は生成AIの画像と動画の違い|選び方と勘所が参考になります。

判断フロー|5つの問いで決める.

迷ったときは、次の5つの問いに上から順に答えてみてください。どこかで「外注」「ハイブリッド」側に分岐したら、その工程だけを外に出すところから検討するのが現実的です。

5つの問いに上から答えると、どの工程を外に出すべきかが見えてくる
5つの問いに上から答えると、どの工程を外に出すべきかが見えてくる

内製に切り替えるときの進め方.

外注から内製へ、あるいはハイブリッドへ移るときは、いきなり全部を切り替えないことが大切です。次の順序で進めると、品質を落とさずに移行できます。

01

用途を1つに絞る

SNS投稿や広告の派生パターンなど、本数が多く、失敗しても影響が小さい用途から始めます。

02

外注の納品物を「お手本」として残す

外注していた動画の構成、尺、テロップの入れ方、音の付け方を分解して、社内の型にします。

03

1本を内製して工数を測る

企画から公開までにかかった時間を記録し、内製1本あたりの費用を計算します。外注費と比べる材料になります。

04

確認の担当とルールを決める

類似チェック、商標や人物の確認、AI利用の表記などを、誰がどの基準で確認するかを1枚にまとめます。

05

型を配って本数を増やす

うまくいったプロンプトと構成をテンプレートにして、担当者が変わっても同じ品質で作れるようにします。

内製を始める前の確認リスト

Checklist
  • 動画を作る担当者と、確認する担当者を別々に決めた
  • 担当者が毎月動画に使える時間の目安を決めた
  • 使うツールの商用利用の条件を、契約するプランで確認した
  • 生成のログ(日時・ツール・プロンプト)を保存する場所を決めた
  • 公開前の類似チェックと表記の確認手順を文書にした
  • 外注に戻す判断基準(品質・工数)を決めた

ツールを選ぶときの商用利用の確認方法は、商用利用で安全な画像生成AI|選び方と確認手順で詳しく解説しています。

よくある質問.

Qツール代が月数千円なら、内製のほうが必ず安くなりますか?
A必ずではありません。費用の中心はツール代ではなく担当者の時間です。WHITE株式会社の例では、ツール費は約1万5,000円でしたが、担当者1名で1か月かかったと公表されています。本文の式で1本あたりの費用を出し、外注費と比べてください。
Q内製にしたら、外注先との関係はなくなりますか?
Aなくす必要はありません。むしろ、マスターの制作や公開前の確認だけを依頼するハイブリッドにすると、外注費を抑えつつ品質を保てます。月額で継続的に制作するプランを用意している制作会社もあります。
Q内製の担当者には、どんなスキルが必要ですか?
Aツールの操作そのものより、構成を考える力と、出来上がった映像の良し悪しを判断する目が重要です。生成AIは毎回違う結果を出すので、「どれを採用するか」を決める判断力が品質を左右します。動画編集の基本操作ができると、仕上げまで社内で完結しやすくなります。
Q外注する場合、AIで作ったかどうかは開示してもらうべきですか?
A開示してもらうことをおすすめします。使用したツールとプランがわかれば、商用利用の条件や権利の扱いを自社でも確認できます。発注時に「使用ツールと生成ログの提出」を条件に入れておくと確実です。
Q小さな会社でも内製はできますか?
Aできます。ただし担当者が1人の場合、その人が抜けるとノウハウも失われます。プロンプトや構成をテンプレートとして残し、確認だけは別の人が行う体制にしておくと、属人化を防げます。

まとめ|「用途ごと」に内製・外注・ハイブリッドを使い分ける.

  • 内製は人の時間と学習に、外注は完成品と品質の保証にお金を払っている
  • 費用はツール代ではなく、担当者の時間を含めた1本あたりの総費用で比べる。外注は公開料金の例では1本・1セット30万円前後〜(プルークスは60万円〜)が目安
  • 本数が多くスピードが価値になる動画は内製、1本の失敗が許されない動画は外注
  • 多くの会社に現実的なのは、企画は社内・制作は外注、マスターは外注・派生は社内などのハイブリッド
  • 内製に切り替えるときは、1本作って工数を測り、確認の担当とルールを決めてから広げる

参考にした公開情報:Adobe Firefly プランと価格 / Runway Pricing / WHITE株式会社 / フィールドキャスター / REXTAR / プルークス / ECのミカタ(ナイル調査)

※ 本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の案件については弁護士等の専門家にご確認ください。記載は2026年10月時点の情報です。

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